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2008/10/09 THU (No.2014)


秋桜







 朝日新聞がこないだまで1年間にわたって連載していた「新聞と戦争」が、「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」の公共奉仕部門の大賞に選ばれたというニュースが、当の朝日の紙面に載った。この手のニュースにありがちなように、自分のことだから感情を抑えて、というのが見え見えの、単に事実を報ずるだけの短い記事だったが、1年間欠かさず読んできたボクとしては、「そりゃないだろう」という後味の悪さを感じた。

 先の戦争で、朝日(と日日、現毎日新聞)が軍部の片棒を担ぎ、国民の洗脳に大きな役割を果たしたことは、紛れもない歴史的事実である。その事実について、戦後長い間、あたかも「なかったことにしましょう」が如く口を閉ざしてきた朝日が、きちんと自己検証をやり、自己批判も交えた論評を連載した点は評価できる。「そうはいっても・・・」という、多少自己弁護的なところもなくはなかったけれど、まあ、画期的な企画であったことは確かだ。

 しかし、ボクが思うのは、ちょっと片手落ちじゃないかということ。戦争に国民を駆り立てた責任を自己批判する良識があるのであれば、たとえば、なぜ朝日は、朝鮮総連の片棒を担いで「北朝鮮は夢の国」キャンペーンを張ったことを自己批判しないのか。脱北者の苦しみ、脱北できずに、いまだに北で喘いでいる日本人の辛苦に対する責任をどうとるのか。

 このメルマガでは、ほとんどこういう政治向き、イデオロギー色のあるコラムは書かないのだが、今回ばかりは、ちょっと腹に据えかねた。というのも、知り合いの朝日の記者、そいつのことは毛虫より嫌いなのだが、そいつが、なにかあれば必ず、「新聞は社会の木鐸」と、さも金科玉条の如く口にするのに辟易していたからだ。

 まあ、理想としては分かる。しかし、新聞が過去なにをしてきたのか、それを知っていれば、そういうはばったいことが言えるはずがない。そういう常識さえないヤツが、オレは中立、公正無私の新聞記者だぞ!とばかり大きな顔をしている。現在でさえ、新聞の論調には、あからさまではなくとも、大衆をある一定の方向に誘導しようという陰湿な意図が感じられる。ちっとも反省していないのだ。

 ボクはテレビは大嫌いだが、新聞は好きだ。隅から隅まで読む。しかし、新聞に書いてあることが「事実」だとは決して信じない。事実だとしても、あくまで一面から見ただけの事実に過ぎないし、意図的に事実を曲げることが容易にできることを、ボクも文章書きの端くれだから、よく知っているからだ。


今日のプレミア版

陽射しに向かって



展示作品:通常版「陽射しに向かって」

エッセイ:来年のお田んぼ・続き

今日のポイント:絞る意味

撮影会講評:きょんちさんの作品

「キミたち!危ないよ~」

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by osampo002 | 2008-10-10 04:17
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