ひまわり鉄塔 「ブラックリスト~終わらない追跡~」を読んだ。午後いっぱい歩き回って足を棒にしたキットくんは、辿りついた遠くの駅で渇いた喉を潤すべく、たまたま見つけた(必死に探した)駅前の焼き鳥屋に腰をおろしたわけだが、なにも読む本がなかったので、すぐ隣の本屋でこの本を買ってから飲み始めたのだった。300ページほどの本だが、活字がでかいので生3杯で読み終えた。もちろん、面白かったからでもある。 著者はムギ。ハンドルネームみたいな名前だと思うでしょ。その通り、ハンドルネームなのだ。この本、携帯無料小説のモバゲータウンで、累計800万閲覧を記録した話題作なのだ。出版社はソフトバンククリエイティブ、そりゃそうだわね。 消費者金融、またの名を高利貸しに勤める債権回収員のお話である。債務者は、返済が90日間滞るとブラックリストに登録される。その、ブラックリストに載った債務者から、貸した金を取り戻すのが回収員。債務者はせっせと逃げ回る。あるいは、最初から詐欺目的で借りるヤツもいる。姿を隠したそういう債務者を探し出し、ない金を回収してくるわけだから、そこには、おおっぴらにできないいろんな手管がある。それが、ことごとく開示されるのだから、面白くないわけがないわけだ。 隠れた債務者を探し出す手口は探偵そのものである。よくもまあ、そんな方法を思いつくものだと感心させられる。逃げ回るのは返済する金がないからだが、ない金を回収してしまう手口もすごい。よほどの悪人じゃないと思いつかないようなやり方だ。違法になるぎりぎりのところで、あるいは、たまには違法を承知で取り立てるのである。 サラ金をひっかけるヤツもいる。最初から詐欺目的で借りるのである。その手口がまたすごい。頭が良くなきゃ詐欺はできないと言うけれど、なるほど納得、ボクには到底思いつきもしない。しかし、上には上がいる。その詐欺犯を追い詰めるのが回収員だ。警察に任せたのでは金は回収できない。相手がヤクザだろうがなんだろうが、回収できてなんぼの商売、こっちもまた悪人になりきらねば結果は出てこないのである。 犯罪人を主人公にした小説をピカレスク小説と呼ぶ。この本、犯罪者は、言うまでもなく借りた金を踏み倒す債務者側であるが、回収員もまた犯罪者もどきなのだ。心優しい正直者では務まらない。その悪人ぶりがこの小説の一番の読みどころだが、ちょっと憎めない、可愛い悪人であるところに、幾分ほっとするところもある。もっとも、だからと言って、サラ金から借りようという気には絶対にならないけどね。 今日のプレミア版 枯野 展示作品: 通常版「枯野」 エッセイ:鉄塔山西線の続き 今日のポイント:再び訂正 ネット撮影会講評:休載 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Premium版の購読申込みはこちら。 購読料(月間1,050円)はクレジットカードからの自動引き落としです。
by osampo002
| 2009-08-06 01:40
| 本を読もう!
|
カテゴリ
以前の記事
2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 04月 2011年 03月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 フォロー中のブログ
書評は「脳内紙魚だらけ」に移転しました。
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||