人気ブログランキング | 話題のタグを見る

2009/08/05 WED (No.2314)


ひまわり鉄塔







 「ブラックリスト~終わらない追跡~」を読んだ。午後いっぱい歩き回って足を棒にしたキットくんは、辿りついた遠くの駅で渇いた喉を潤すべく、たまたま見つけた(必死に探した)駅前の焼き鳥屋に腰をおろしたわけだが、なにも読む本がなかったので、すぐ隣の本屋でこの本を買ってから飲み始めたのだった。300ページほどの本だが、活字がでかいので生3杯で読み終えた。もちろん、面白かったからでもある。
 著者はムギ。ハンドルネームみたいな名前だと思うでしょ。その通り、ハンドルネームなのだ。この本、携帯無料小説のモバゲータウンで、累計800万閲覧を記録した話題作なのだ。出版社はソフトバンククリエイティブ、そりゃそうだわね。
 消費者金融、またの名を高利貸しに勤める債権回収員のお話である。債務者は、返済が90日間滞るとブラックリストに登録される。その、ブラックリストに載った債務者から、貸した金を取り戻すのが回収員。債務者はせっせと逃げ回る。あるいは、最初から詐欺目的で借りるヤツもいる。姿を隠したそういう債務者を探し出し、ない金を回収してくるわけだから、そこには、おおっぴらにできないいろんな手管がある。それが、ことごとく開示されるのだから、面白くないわけがないわけだ。
 隠れた債務者を探し出す手口は探偵そのものである。よくもまあ、そんな方法を思いつくものだと感心させられる。逃げ回るのは返済する金がないからだが、ない金を回収してしまう手口もすごい。よほどの悪人じゃないと思いつかないようなやり方だ。違法になるぎりぎりのところで、あるいは、たまには違法を承知で取り立てるのである。
 サラ金をひっかけるヤツもいる。最初から詐欺目的で借りるのである。その手口がまたすごい。頭が良くなきゃ詐欺はできないと言うけれど、なるほど納得、ボクには到底思いつきもしない。しかし、上には上がいる。その詐欺犯を追い詰めるのが回収員だ。警察に任せたのでは金は回収できない。相手がヤクザだろうがなんだろうが、回収できてなんぼの商売、こっちもまた悪人になりきらねば結果は出てこないのである。
 犯罪人を主人公にした小説をピカレスク小説と呼ぶ。この本、犯罪者は、言うまでもなく借りた金を踏み倒す債務者側であるが、回収員もまた犯罪者もどきなのだ。心優しい正直者では務まらない。その悪人ぶりがこの小説の一番の読みどころだが、ちょっと憎めない、可愛い悪人であるところに、幾分ほっとするところもある。もっとも、だからと言って、サラ金から借りようという気には絶対にならないけどね。





今日のプレミア版


枯野




展示作品:
通常版「枯野」
エッセイ:鉄塔山西線の続き
今日のポイント:再び訂正
ネット撮影会講評:休載

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Premium版の購読申込みはこちら。

購読料(月間1,050円)はクレジットカードからの自動引き落としです。

リンクシェア レビュー・アフィリエイト

by osampo002 | 2009-08-06 01:40 | 本を読もう!
<< 2009/08/06 THU ... 2009/08/04 TUE ... >>