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2009/03/12 THU (No.2168)


春はすぐそこに







 母親が泣きながら電話してきた。上の歯を、1本を残して全部抜かれたという。
 1ヶ月ほど前から歯医者に通っていた。ぐらつく歯があって、ときどき痛むので、それを治療してもらうためだ。だいたい週に一度ぐらいの割で通っていた。その歯を抜いてブリッジにする段取りだったという。その治療がそろそろ終盤に差し掛かっていたのだ。
 駅前の女医である。これまで通っていた歯医者は、ビルの二階に診療所があるため、体力が弱った母親は、その階段を自力では登れなくなった。そこで、近所の評判を頼りに、今回から通い始めた歯医者だ。
 なかなか気さくな、親切な女医さんだと言っていた。ところが、そろそろ治療も終わろうかという今日になって、上の歯茎そのものが元々傷んでいるために、抜いた歯の両側からブリッジにしても、両側の歯が耐えられそうにないという話になった。どうせなら、ぐらつく歯を全部抜いて、総入れ歯にした方が楽ですよ、という説明を受けたのだそうだ。
 せっかく1ヶ月も通ったんだから、とりあえず作りかけのブリッジにしてもらい、それでもダメなら話の通りにすればいい、それが普通の患者の反応だろう。ところが、駅前まで通うだけでも疲労困憊していた母親は、考える余力もなく、言われるがままにうなづいてしまった。で、あっという間に歯なしにされてしまったわけである。
 帰宅してから、さすがにこれはおかしいと思い始めた。だって、1ヶ月も治療したのが、全部無駄になってしまったわけである。抜くなら抜くで、最初から全部やってくれれば、その無駄はなかったわけじゃないか。
 しかも、総入れ歯にするためには、歯茎がある程度落ち着いてからじゃないとダメなので、当分は上の歯1本だけで我慢しなさいと言われたそうだ。おかゆしか食べられない状態に追い込まれたわけである。
 一度に何本も抜かれたために歯茎が疼くし、夕食も食べられないし、なにより、1ヶ月の忍耐と、その間に払った治療費が、そっくり無駄になったことが悔しい。それが泣きの電話になったというわけ。
 これって、どうなんだろう。1ヶ月分の治療は誤診に基づくものだったってこと?それとも、年寄りだと見て、最初から余計な治療費をぶん取ってやろうという、計画犯罪だったってこと?母親の話を聞きながら、ふつふつと怒りが充満してきたキットくんなのである。
 しかしなぁ、女医さんはちゃんと説明したって言うし、その説明を黙って受け入れてしまった以上、文句を言っても勝ち目はなかろう。ボクにできることは、出かけて行って慰めてやるぐらいが関の山のようだ。


今日のプレミア版

過密産院



展示作品:
通常版:「過密産院」
エッセイ:肩の荷が二つ下りた
今日のポイント:休載
ネット撮影会講評:休載

2008年ベスト100の
入選作品を発表しています。
本日の展示作品:
akebimamaさん:光の先には・・・
BUBUさん:あれ?
エスさん:山削り
gontaさん:ご自由に店内をご覧ください
はんべぇさん:ほらねっ
はんべぇさん:泥つぶて
Happeiさん:静・動
Happeiさん:咆哮
ホリさん:夏の風を受けて
ホリさん:無関心
iwanaさん:残雪を超えて
JIROさん:宙返り
joseさん:明日に向かって
かたつむりさん:ちょっと待って

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by osampo002 | 2009-03-13 03:50
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