<   2010年 11月 ( 17 )   > この月の画像一覧

11/7





宇江佐真理
「余寒の雪」
★★★★★




佐々木譲
「くろふね」
★★★★★




宇江佐真理
「桜花を見た」
★★★★★





 先週の3冊の中から1冊だけを推薦しろと言われたら、躊躇うことなく佐々木譲の「くろふね」を推挙する。文句なしのエンターテインメントである。著者は、警察小説、和製ウェスタン、企業小説、近代史小説など、多彩な分野で傑作を世に送り出しているが、歴史小説の分野でも特筆すべき才能を発揮する。
 「くろふね」は、嘉永6年、ペリー提督率いる米海軍の黒船が浦賀に来航したときを端緒に、日本人として初めて黒船に乗り込んだ浦賀奉行所与力中島三郎助の生涯を綴った伝記小説である。動乱の江戸末期を、我が国を近代国家に生まれ変わらせるべく奮迅し死んでいったサムライの生き様が、見事な筆致で描かれている。文庫にしては大部の、460ページを超える長編だが、一日で読んでしまった。ページをめくる手が止められないというぐらいだったのである。
 中島三郎助の生き方も感動ものだが、登場する有名人たちの描写にも目から鱗の面白さがある。幕末の名傑とされている勝海舟の人物造形などは特筆ものだ。本所吾妻橋際の彼の銅像の下を通るたびに、苦笑を誘われることになると思う。
 前号で、ひょっとしたら前作網羅になるんじゃないかという予感があると書いたが、先週も宇江佐真理を2冊読んだ。まったく、あきれるぐらいにハズレのない作家である。「余寒の雪」も「桜花を見た」も短編・中編集だが、一篇一篇に漂う情感が、これぞまさしく宇江佐ワールドの真骨頂なのであろう。クセになってしまうというか、もうほとんど取り込まれてしまったというのが正直なところだ。まだ本のストックが20冊以上あるというのに、本屋に走って宇江佐を6冊買ってきてしまった。しばらくは抜け出せそうにない。



[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 21:16 | 本を読もう!

11/1-11/7


西日の当たる家


11/01 Mon. 埼玉県越谷市



わくら葉


11/02 Tue. 埼玉県越谷市


色づく山肌


11/03 Wed. 新潟県湯沢町



観彩の宴


11/04 Thu. 埼玉県三郷市



街角


11/05 Fri. 東京都台東区



東京虫くいフェスティバル


11/06 Sat. 東京都中野区



準備中


11/07 Sun. 東京都中野区









 このところ虫に凝っている。虫といっても「虫食い」、つまり、虫を食べちゃうぞ!である。きっかけはこの本。虫料理研究家の内山昭一氏の手になる、画期的とも言うべき「変な本」だ。この本をたまたま読んで好奇心をそそられたボクは、早速ネット検索を敢行して氏のブログにたどり着いた。で、そのブログに公示してあった「昆虫食のよるべ」なるイベントにのこのこ出かけて行ったのが先月の26日、先週号に「スズメバチ」という写真を載せた日であった。スズメバチが食らいついているのはボクの手である。仕返しに、そいつを食ってやった。
 昆虫が優れた食材であることは、東南アジア諸国に行ったことがある人なら大概ご存知だろう。タガメやゲンゴロウ、セミ、サソリなどの料理が堂々と屋台で売られていて、好奇心に駆られて食べてみたらハマってしまったという人も多いと思う。ボクはタイではなく、ラオスとインドネシアで虜になった。
 だが、帰国してしまえば、虫を食うのは不可能、とまでは言わないけれど、なかなか難しい。セミの美味しさが忘れられず、マンションの緑地で捕まえたセミを料理しようとしたら、鬼嫁に思いきりひっぱたかれ、ほぼ1ヶ月口をきいてもらえなかった。虫食いの話をするのさえタブーである。マンションの住人に知られたら、あたしゃ外を歩けなくなる、のだそうだ。
 ということで、食いたいものも食わせてもらえぬ不幸な日々を送っていたところであったから、このイベントは楽しかった。出た料理は、スズメバチの成虫、蛹、幼虫などの混ぜご飯やら佃煮やら天ぷらであったが、セミに劣らずいい味を出していた。なにより、会場になった阿佐ヶ谷の「よるのひるね」、ほぼ10人も入れば満員になっちまうような居酒屋に、立錐の余地なく30人ほども虫食いたちが集まり、みんながみんな、例外なく虫に舌鼓を打っていた光景に感動したのだ。ともすれば、虫を食うというだけでバケモノ扱い、やだ、寄らないで、変態!となるところが、ここではみんなお友だち、初対面にもかかわらず、めっちゃ話が通じてしまったのである。
 というわけで、昨日6日には、中野で行われた「東京虫くいフェスティバル」にも参加させていただいた。上記の内山氏だけでなく、ムシメセンさん、ムシモアゼルギリコさん、虫マンさん、カベルナリア吉田さんなどという、名前からしてすでにイッちゃってる方々が爆笑トークを繰り広げ、会場も関東一円から参集した120人もの虫食い人間で熱気ムンムン、虫糞茶、虫お握り、虫入り焼酎、虫スナックなどを飲み食いしながら、とことん楽しい3時間を堪能させていただいた。
 21日の「昆虫食のよるべ」には、まことに残念ながら参加できない。ちょうどラオス旅行の期間中だからである。興味のある読者は参加してみてはいかがかな。「キットからの紹介」と言って申し込めば、ウェルカムだと思う。ボクは参加できないけれど、その代り、ラオスでは思いきり虫を食ってくるつもりだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






11/01 第1745号

西日が当たる窓


エッセイ:歳を取ると時間が経つのが早い
今日のポイント:田んぼが狭くなった
ネット撮影会講評:フォトたろうさんの作品「秋の気配」


11/02 第1746号

滑り台


エッセイ:指示出し
今日のポイント:ものの30秒ほどで
ネット撮影会講評:Ukiukiさんの作品「飛翔」


11/03 第1747号

棚田色づく


エッセイ:収穫祭は大収穫だった
今日のポイント:今年の紅葉は遅い
ネット撮影会講評:dexさんの作品「ストリート・ダンス」


11/04 第1748号

プラタナスの紅葉


エッセイ:親父の通院日に思うこと
今日のポイント:現像時の露出補正
ネット撮影会講評:dexさんの作品「ヤング・ドラマー」


11/05 第1749号

女三人寄れば


エッセイ:ラオス用三脚
今日のポイント:中国人観光客
ネット撮影会講評:はんべぇくんの作品「晩秋」


11/06 第1750号

虫くいフェスタ



エッセイ:虫食いにブスはいない
今日のポイント:安物レンズでも撮れる
ネット撮影会講評:せろこさんの作品「青い衝動」

11/07 第1751号

行きかう人々


エッセイ:真面目に仕事をした1日
今日のポイント:東京の「表情」
ネット撮影会講評:コスモスさんの作品「健気」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

プレミア版の直接配信申し込みを受け付けます。
詳細はこちらをご覧ください。

[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 21:13

10/31







宇江佐真理
「斬られ権佐」
★★★★★






佐々木譲
「警察庁から来た男」
★★★★★






今野敏
「警視庁神南署」
★★★★☆






宇江佐真理
「神田堀八つ下がり」
★★★★★






今野敏
「パラレル」
★★★☆☆






宇江佐真理
「ひょうたん」
★★★★★



 好きな作家はたくさんいるけれど、この著者の作品なら全部網羅してみたいと思わせる作家は必ずしも多くない。日本人なら庄野潤三、藤沢周平、浅田次郎ぐらいのものだし、海外ならディック・フランシス、エド・マクベイン、せいぜいその程度である。しかし、ここに宇江佐真理を加えてみたくなった。今年初めに出会ったばかりの作家であるが、ここまでに読んだ6冊がすべて★5つ、それも、できれば6つ差し上げたいぐらいの秀作揃いなのだ。多作家であるにも関わらず、これだけの高品質を維持できるというのが素晴らしい。先週の3冊も、文句なしに楽しめた。
 「斬られ権佐」は、憧れの対象でしかなかった医者の娘を、ひょんなことから助けることになり、その娘と夫婦になった仕立て屋の権佐が主人公。娘を助けた時に負った88ヵ所の刀瑕のせいで、「斬られ権佐」と異名をとる。その権佐が、八丁堀の与力、数馬の下っ引きとして出会う、6つの事件がそれぞれ短編にまとめられている。
 いわゆる捕り物小説とは趣を異にする。罪人にも弱さがあり、哀しみがある。その弱さや哀しみをとことん思いやりながら、権佐は捜査に携わるのである。いかにも女性作家の手だと思わせる、人情の細やかな描写が、深い味わいを漂わせる。最後の6篇目では、思わずうるうるしてしまったキットくんであった。
 「神田堀八つ下がり」は、副題に「河岸の夕映え」とあるように、神田掘沿いの6つの河岸を舞台にした短編集である。上の「斬られ権佐」は権佐を主人公とした連作短編集であったが、こちらはそれぞれが一つの小説になっている。ここでも、宇江佐の筆は、江戸下町に生きる市井の人々の心情を、女性らしい感性で見事に描ききる。
 「ひょうたん」は、今にも潰れそうな本所の古道具屋・鳳来堂の音松とお鈴夫婦が主人公。6篇の短編連作集である。若いころは手の付けられぬほどの遊び人であった音松だが、お鈴を迎え入れたことで改心し、鳳来堂の立て直しに邁進する日々を送っている。音松のもとには、かつての遊び仲間たちが毎夜のように訪れる。この連作集は、夫婦というもののあり方を描くと同時に、友情という一面も大きなテーマとして扱われている。一篇一篇が心に沁み通ってくるような情感に満ち、読み終える都度、しばらく反芻しないと次の一篇のページがめくれない気持ちに囚われる。あざとさを全く感じさせることなく、うるうるさせられてしまう書き手は、そうそういるもんじゃない。

 佐々木譲「警察庁から来た男」は、以前ここに書いた「笑う警官」と「警官の紋章」のちょうど中間に位置する道警シリーズの一篇である。登場人物が重複するし、第一作でテーマになった道警の汚染事件が一本の線となってシリーズを貫いている。
 この第二作では、第一作の汚染事件後、警察内部の不透明さは払拭されたはずだったのに、突然のように警察庁から査察の手が入る。汚染事件があぶりだされるきっかけを作った津久井刑事は、内部告発を道警に対する裏切りと取られ、警察学校の用務員に左遷されている。だが、警察庁から来た男、キャリアの藤川警視正は、その津久井に協力を求める。警察庁がなぜ道警に目をつけたのか、払拭されたと思われていた汚染が、まだ残っているというのか、あぶりだされてくる事実は意外な展開を見せる。テンポのいい警察小説である。

 今野敏を2冊。ハズレの少ない作家であるが、「パラレル」はいただけなかった。ボクの好みの問題でもあるが、オカルトはいけない。あり得ないことで小説が書けるなら、なんだって書けちゃうじゃないか、卑怯者め、という感じ。
 一方、「警視庁神南署」は警察小説の今野の面目躍如といった一篇で、けっこう面白く読ませていただいた。犯人の目星が途中である程度ついてしまうというところがあるが、その犯人を「落とす」過程に読みごたえがあって救われたという感じだった。



[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 21:00 | 本を読もう!

10/25-10/31


鬼太鼓


10/25 Mon. 埼玉県鴻巣市



スズメバチ


10/26 Tue. 東京都杉並区


魂の一打


10/27 Wed. 埼玉県鴻巣市



秋彩


10/28 Thu. 長野県小海町



赤い実


10/29 Fri. 埼玉県越谷市



優蛾


10/31 Sun. 新潟県湯沢町



色づき始め


10/24 Sun. 宮城県村田町






 お田んぼ倶楽部の今シーズンがほぼ幕を閉じた。明日3日に水梨集落の収穫祭が予定されていて、それにけんちゃんやカズちゃんと参加すればいいだけとなった。
 振り返ってみれば、今シーズンは不手際の連続であった。過去3年間の経験が通用しない場面に遭遇することが多かったのだ。第一に、耕作面積が一気に倍以上拡大したことがある。従来通りの手作業一辺倒では、とてもじゃないが手が回らないということで、機械化に踏み出した。田起こしは耕耘機、田植は田植機、稲刈りはバインダー、脱穀はコンバインを使用したが、操作が不慣れだったために、水没させたりスタックさせたりする事故が相次ぎ、相当程度時間を無駄にすることになった。
 水管理にも失敗した。地主さんの意向で、今年から新たに始めた小谷の田んぼでは除草剤を軽めに使用したが、水の管理がおろそかになったことが原因で、撒いた除草剤がすっかり流出してしまい、結果として有機栽培になってしまったのだ。肥料の効きも当然悪かった。肥料分も流れ出してしまったからである。
 田植え後の水管理は、水が田んぼから流出しない、なおかつ、減水して田んぼの土が露出しない水位を、出穂時期まで維持する必要がある。しかし、現地在住の立場ではないお田んぼ倶楽部は、毎日朝夕に水の流入量を見守って調節することができない。ヤマ勘で流入量を「この程度」と決めて田んぼを後にするから、1週間後なり2週間後までは運頼みになってしまうのである。結果、今年は流入量を多くしすぎて、田んぼを雑草だらけにしてしまったのだった。夏場の草取りという、余計な仕事を呼び込んでしまったのだ。今年の夏は猛暑続きだったから、その草取りが非常に苛酷な労働になった。
 結局、例会の回数が15回にも及び、メンバー諸氏には辛い思いをさせてしまった。いくら田んぼが好きとは言っても、松之山まで通うわけだから自ずと限度がある。田起こし、代掻き、田植え、稲刈りをメインに据え、夏場の草刈りは2回程度に絞り込む工夫をしなければならないと考えている。道普請などの仕事が入ることもあろうけれど、例会の回数をせいぜい10回以内まで減らすことは不可能ではないと思う。
 全部で3反弱の田んぼを耕し、収量は540キロ、600キロが目標だったから若干足らなかった。でも、平地の田んぼは猛暑被害で散々だったのに、ボクらの田んぼは湧き水の冷たさに助けられて、例年以上の品質が確保できた。地元のセイイチさんや橋本さん、オミさんからも第一級のお墨付きがいただけた。
 また、地元集落にお田んぼ倶楽部が徐々に認知されつつあるという感触も得られた1年でもあった。都会人が大挙して押しかけ、田んぼ周りをうろうろしているだけで、地元は警戒する。その警戒感を解きほぐす一番の手は、やはり、真面目にコメ作りに取り組んでいるという姿勢を示すことだと思う。その点で、それなりの評価をいただけつつあるというのは、たいへん嬉しいことであるし、来年以降の活力源にもなる。この姿勢だけは守り続けていこうと強く思う。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






10/25 第1738号

鬼魂一打



エッセイ:ライブ撮影
今日のポイント:行田公演
ネット撮影会講評:休載

10/26 第1739号

虫食い


エッセイ:昆虫は美味しい
今日のポイント:取材対象としては・・・
ネット撮影会講評:休載


10/27 第1740号

没我


エッセイ:ダミー版実験成功
今日のポイント:被写体に迫る位置取り
ネット撮影会講評:休載


10/28 第1741号

晩秋の野を行く


エッセイ:雨に祟られた
今日のポイント:箸にも棒にも
ネット撮影会講評:休載


10/29 第1742号

ふたり


エッセイ:溝を掘る
今日のポイント:背後の配置
ネット撮影会講評:休載


10/30 第1743号

霧に映る影


エッセイ:溝掘り終了
今日のポイント:露出はヤマ勘
ネット撮影会講評:休載


10/31 第1744号

排水溝


エッセイ:次回のお田んぼクラブ例会は中止
今日のポイント:田んぼが狭くなった
ネット撮影会講評:休載

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

プレミア版の直接配信申し込みを受け付けます。
詳細はこちらをご覧ください。

[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 20:55

10/17-10/23


風車と月


10/18 Mon. 秋田県にかほ市



農村


10/10/19 Tue. 山形県鶴岡市


夜の花


10/10/20 Wed. 埼玉県越谷市



ばあさん感激


10/21 Thu. 埼玉県越谷市



火炎花


10/22 Fri. 埼玉県草加市



支度


10/23 Sat. 東京都足立区



飛出し


10/24 Sun. 宮城県村田町






 高利貸だって待てる範囲だ、などと前回は書いた。とにかく、言い訳ならば何を言ってもお構いなしみたいなメルマガだからそういうことも書けるのだが、なんともはや、この号は1週間遅れである。厚顔無恥では人後に落ちぬキットくんであるが、さすがに今回は顔を赤らめている。
 元はと言えば、実家に帰るから運転せよと、何の前触れも相談もなく、いきなり宣言した鬼嫁の我がままに起因する。山形県の酒田市である。はるか地の果てだ。そんな地の果てに17日から19日まで付き合わされた。
 別に大した用事があったわけではない。施設に入っている96歳になった義父を見舞うというのが表向きの目的だったのだ。だが、毎日顔を出す義兄でさえ認識できない完ボケ老である。年に一回か二回しか顔を出さない鬼嫁を認識できるはずもなく、見舞いったって、見舞いにはなりはしないのだ。
 案の定、「どこのどなたさまで」と面と向かって質問されただけの見舞いであった。鬼嫁は、覚悟していたこととはいえ、人生の無常を感じたような面持ちであった。鬼嫁すら認識できない義父が、鬼嫁の婿を認識できるわけはなく、ボクはひたすら無駄な3日間を嘆くのみであった。
 で、やっとのことで帰宅した翌日は、連合会の会議。先月の会議を島根・山口長期ロードですっぽかした手前、今月はなにがなんでも出なければならぬ。なんたって、名前だけとはいえ、事務局長なのだ、ボクは。会場の予約は他のメンバーにやってもらったけれど、会議の資料作りはボクの担当、他人任せにするわけにはいかない。ということで、水曜日もめでたく潰れた。
 木曜日は親父の通院付添い、金曜日は歯医者、土曜日にやっと一日空いたけど、24日日曜日は菅生のモトクロスと、なんだかんだでめっちゃ忙しい一週間だった。なんたって、酒田に行っていた3日間分のプレミア版後出しが尾を引いた。
 などと言いつつ、本は6冊も読んだのだから、これが単なる言い訳であることは火を見るより明らかだ。もっとも、普及版のメルマガを出すより本を読むほうの優先順位が高いことは、言っちゃなんだけど事実である。せめて、1週遅れになっても、ちゃんと出そうとする律義さを買って欲しい。ははは、最後は開き直りかよ・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






10/18 第1728号

ダミー版
チャールズ砦にて




エッセイ:Ireland-57
今日のポイント:休載
ネット撮影会講評:休載

10/18 第1731号

後出し版
大潟村



エッセイ:大型農業のモデルケース
今日のポイント:比較するものを入れる
ネット撮影会講評:休載


10/19 第1729号

ダミー版
B&B



エッセイ:Ireland-58
今日のポイント:休載
ネット撮影会講評:休載

10/19 第1732号

後出し版
収穫のとき



エッセイ:秋仕事
今日のポイント:懐かしいオヤツ
ネット撮影会講評:休載


10/20 第1733号

深夜


エッセイ:ダミー版と後出し版
今日のポイント:頻繁に訓練する必要がある
ネット撮影会講評:フォトたろうさんの作品「魚とり」


10/21 第1734号

黄門様


エッセイ:終日親父に付き合った
今日のポイント:表情を撮るときは連射
ネット撮影会講評:はんべぇくんの作品「里神楽」


10/22 第1735号

新しい道


エッセイ:ベスト100の現像仕上がり
今日のポイント:駅裏再開発
ネット撮影会講評:丸山さんの作品「未熟な柿」


10/23 第1736号

鳩と男


エッセイ:明日は配信なし
今日のポイント:テーマは「???」
ネット撮影会講評:せろ子さんの作品「ある日」


10/24 第1737号

全日本モトクロス


エッセイ:5年ぶりの菅生
今日のポイント:流し撮りの難易度
ネット撮影会講評:遥夢さんの作品「陶酔」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

プレミア版の直接配信申し込みを受け付けます。
詳細はこちらをご覧ください。

[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 19:26

10/11-10/17







佐々木譲
「疾駆する夢(上)」
★★★★★






佐々木譲
「疾駆する夢(下)」
★★★★★






佐々木譲
「廃墟に乞う」
★★★★★



 デビュー作「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞したのを手始めに、主だった文学賞はほぼ総なめした感があった佐々木譲だが、今年はその頂点を極めたというべきか、第142回直木賞の栄誉を手にすることになった。それを記念して、というのではないが、このところ、この作家の小説を立て続けに読んでいる。先週のこの3冊以外にも、これから読むストックの中に6冊入っている。いったん気に入るとしばらくのめりこむという、凝り性ならではの読み方だ。カレーを「美味しい」などと言おうものなら、1週間毎日カレーが出たのが、ガキのころの我が家だった。母親から受け継いだ性分、ということだろう。
 「疾駆する夢(上下)」は、一代で自動車メーカーを世界レベルまで育て上げた男の話である。敗戦とともに自動車整備隊から復員してきた多門大作は、焼け野原と化した本牧で、一人だけの自動車整備工場を立ち上げる。多門の夢は、かつて1年間だけ働いたことがあったフォード日本工場で培った夢、我が国でもアメリカ車並みの自動車を作ることだった。
 手始めに、あちこちからかき集めてきた部品を組み立てたオート三輪を作って売りだす。これが、戦後復興期の産業界に歓迎され、多門自動車の発展が始まる。この小説は、多門大作という、生涯をかけて夢を追い続けた快男子の物語であると同時に、日本自動車業界の戦後史でもある。
 多門、ひっくり返せばモンタ、おそらく、多門自動車のモデルはホンダである。小説中に、我が国第3位のメーカーにまで上り詰めたという下りがあることからも、そのように推測される。しかし、ホンダも本田宗一郎も登場人物として小説中に出てくるから、主人公の人物造形がフィクションであることはもとより、多門自動車がホンダであるとも断じられない。通産省が主導する自動車産業育成政策にあくまで背を向け続けたホンダを念頭に、フィクションとしての多門自動車を造形したと言えるだろう。
 とにかく面白い小説であった。佐々木譲のストーリー作りはまさに天才だと思うが、その天才を如何なく発揮した企業小説だ。

 「廃墟に乞う」が今年の直木賞受賞作品。まだ文庫化されていないため、ケチなキットくんとしては、清水の舞台から飛び降りたつもりで単行本を買った。
 ある事件をきっかけに、心に重いストレスを抱えてしまった北海道警の刑事仙道は、心の病を治療するため休職扱いとなっている。その仙道のもとに、いろいろな事件が持ち込まれる。捜査権もなく、道警の捜査の邪魔をすることもできぬ仙道だが、一般人としての立場ながら、頼まれたからには断ることができず、事件に関わっていく。
 全部で6篇の短編からなる連作小説である。それぞれで別個の事件が扱われるが、それらの事件を捜査していく中で、仙道の心の病も徐々に快方に向かう。仙道の心が傷を負うことになった原因が最後の「復帰する朝」で明かされるが、そこに至るまでの仙道の心理描写もなかなか読ませる。佐々木譲は、「警官の血」や「警察庁から来た男」、「笑う警官」など、警察小説の分野でも優れた力量を示すが、その一つの頂点がこの連作集であろうと思う。



[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 19:07 | 本を読もう!

10/11-10/17


田に下る道


10/11 Mon. 新潟県十日町市



秋景色


10/12 Tue. 新潟県十日町市


只今488メートル


10/13 Wed. 東京都墨田区



ガード下


10/14 Thu. 東京都台東区



天高く


10/15 Fri. 埼玉県久喜市



蕾一輪


10/16 Sat. 埼玉県久喜市



藪から秋


10/17 Sun. 山形県鶴岡市






 この普及版を日刊から週刊に衣替えして、早くも7ヶ月が過ぎた。キットくんの学習能力は遅々として進化しないが、月日の経つのは早いのである。
 日刊から週刊に変えるについて、まぐまぐなどの配信スタンドとの契約は、発行頻度を「週刊」ではなく「ほぼ週刊」としてある。つまり、同じ週刊でも、何曜日発行という縛りをなくしてあるのだ。実に賢明な判断だったと思う。何曜日発行ということが契約に謳ってあったなら、今週はドツボであった。なぜなら、発行日として想定してある月曜日、ボクはまだ山形県内をうろついていたからである。うろつく先がネット環境にあり、なおかつ、配信作業をする時間的、心理的余裕があれば出先からでも配信可能だが、これらの条件のうち一つでも欠けたら、配信は夢のまた夢なのだ。月曜日配信が6日遅れになったとしても、契約上の問題は発生しない。読者諸君はもともとタダ読みなのだから、文句を言う筋合いではない。キットくんとしては、これほど精神衛生に良い環境はないのである。
 というわけで、本来なら18日に出るはずだったこの号が、本日23日にみなさんのところに届く。お待たせしてたいへんモーシワケないことであるが、待っていた人がどれだけいるかを考えれば、それほど恐縮することではないのかも知れぬ。いずれにせよ、たかが数日遅れである。高利貸だって待てる範囲だ。
 この週刊版、日刊版の負担の大きさに耐えかねて衣替えしたわけであるが、さすがに日刊当時に比べれば雲泥で楽ちんさせていただいている。けれども、決して遊び半分で出せるほどの余裕を与えてくれるわけではない。それなりに時間を食うし、微量ではあるが持ち合わせている全ノーミソを、ぐぐっと絞る必要もある。多少は軽くなったとはいえ、負担は負担なのだ。
 というわけで、徐々にではあるが、このコラムの分量を減らしていくことにした。コラム書きのエネルギーは、大半を有料プレミア版のほうに注ぐのが正しいのであって、そこでエネルギーを節約してタダ読み版に回すなど、そういう人倫にもとる行いをしてはいかんと思うからである。なにかと多忙な昨今、今後はさらに、来年早々の「お散歩ネットベスト100写真展」の準備作業が入る。駄文を書いている暇はないというのが正直なところなのだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






10/11 第1721号

里山は秋



エッセイ:脱穀は無事終了
今日のポイント:邪魔ものを隠す
ネット撮影会講評:休載


10/12 第1722号

アケビ


エッセイ:秋仕事
今日のポイント:懐かしいオヤツ
ネット撮影会講評:休載


10/13 第1723号

ライトアップテスト


エッセイ:東武に騙された
今日のポイント:発想の風景離れが必要
ネット撮影会講評:休載


10/14 第1724号

ボディガード


エッセイ:30年前の製品の部品
今日のポイント:実用感度
ネット撮影会講評:Ukiukiさんの作品「輝く航跡」


10/15 第1725号

田んぼの秋


エッセイ:やっと歯医者に行った
今日のポイント:じっと待つ
ネット撮影会講評:k_tsubakiさんの作品「裸の大将秋雨に」


10/16 第1726号

あぜ道


エッセイ:酒田に行くことになった
今日のポイント:余裕をもって構図を決めた
ネット撮影会講評:ぐりさんの作品「もうすぐ収穫」


10/17 第1727号

ダミー版
開店準備



エッセイ:Ireland-56
今日のポイント:休載
ネット撮影会講評:休載

10/17 第1727号

後出し版
藪も秋めく



エッセイ:酒田到着
今日のポイント:ススキの穂の輝きを強調
ネット撮影会講評:休載

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

プレミア版の直接配信申し込みを受け付けます。
詳細はこちらをご覧ください。

[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 19:03

10/10







宇江佐真理
「雷桜」
★★★★★






黒川博行
「海の稜線」
★★★★☆






黒川博行
「大博打」
★★★★★



 時代小説と言えば、ボクは藤沢周平こそ、その第一人者だと信じているが、最近になって出会った宇江佐真理には、妙に惹かれるところがあるみたいで、「紫紺のつばめ」、「夕映え」がともに★5つであったし、この「雷桜」も、文句なしに楽しめた一冊であった。買い置きしてあった25冊がそろそろ底をつく気配になってきたので、今日27冊を注文したが、うち8冊が宇江佐真理である。いつ飽きがくるのか、あるいは、藤沢周平のように、とことん読んでしまうのか、今後が楽しみな作家である。
 山間の村で、生まれて間もない庄屋の一人娘、遊が、雷雨の晩に何者かに掠われる。一家は必死になって捜索するが、手かがりも掴めぬまま十数年が過ぎる。
 二人の兄は立派な男として育ち、長男が庄屋の跡を継ぎ、二男助次郎は江戸に出て、御三家清水家の中間に取り立てられる。真面目な性格が家老の気に入られたのだった。だが、この清水家の当主である斉道は心の病を抱え、屋敷の内外で狼藉を繰り返していた。ある日、些細なことから家来を手打ちにしようとした斉道に、行きかがり上、助次郎が手向かうことになる。当然、厳罰が下ると思われたが、不思議なことに斉道は助次郎に心を許すようになった。あまつさえ、士分に取り立てられる。百姓の次男坊が武士になったのである。
 家老は、当主の気の病が進行し、お家が危機に陥ることを憂う。当主が尾張家と養子縁組するのを機に、尾張へ下る途中の助次郎の村で、現代でいうところの転地療養をさせようと計る。そして、その村で、斉道は狼女と呼ばれる女と出会うのである。ときどき、桜を焼いた炭を村に売りに来る女である。山から下りてくるらしいが、その山は、村の者たちにとっては禁忌の山で、入ったら二度と降りて来れない魔の山として恐れられていた。
 悲恋の物語である。しかし、惚れた晴れたのストーリーではない。なんでも、映画化されたものが近く公開されるという話だが、悲恋物語にしてしまっては元も子もないストーリーだ。庄屋一家と、清水家という武家の「家」の物語なのだ。確かに、「ありえねー」という虚構の物語だが、宇江佐真理の手にかかったらあり得ない話も現実として読めてしまう。侮るべからず、なのだ。最後まで一気に読んでしまった。

 大阪弁小説と言っていいのかどうか、黒川博行の小説は、登場人物がしゃべる大阪弁なくしては成り立ち得ない世界である。警察小説としては異色なのだろうが、ストーリーの組み立てや起承転結は文句なしだし、標準語で書かれても秀作との評価を得るに違いないのだが、大阪弁の軽妙なやりとりがなかったら、今野敏や横山秀行レベルで終わるであろう。今野敏や横山秀行もボクに言わせれば一流だが、それに絶妙の調味料として大阪弁が加えられるから、やはり、彼らとは一線を画すレベルに到達しているのである。
 「海の稜線」は大阪府警捜査一課の文田巡査部長と総田部長刑事、通称「ブンと総長」が主人公。それに、東京から来た若手キャリアが加わり、大阪と東京の文化の違いに角を突き合わせながら、事件解決に邁進する。事件とは、高速道路上で乗用車に仕掛けられた時限爆弾が爆発し、男女2人が殺されるという事件である。調べていくうちに、事件は未解決の海難事件との関連が明らかになっていく。
 「大博打」は誘拐小説。身代金が金の延べ棒2トンという、とてつもない誘拐事件が発生する。身代金の受け渡しをどうするのか、大阪府警には見当もつかない。やがて、犯人は延べ棒を漁船に積み込み、オートパイロットで離岸させよと命じてくる。無人の漁船はしかし、貨物船と衝突して大破し、金塊とともに海に沈む。犯人の試みは失敗してしまったのである。だが、犯人にとってそれは、単なる手始めに過ぎなかった。大胆無碍な犯人の指示に振り回される大阪府警、いったい結末はどうなるのか、読み始めたら止めららないことを保証しよう。



[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 18:50 | 本を読もう!

10/4-10/10


夜の踏切


10/4 Mon. 埼玉県越谷市



突貫工事


10/5 Tue. 埼玉県越谷市


熱風小路


10/6 Wed. 東京都台東区市



魅惑


10/7 Thu. 埼玉県岩槻市



自転車に乗って


10/8 Fri. 東京都世田谷区



窓の日章旗


10/9 Sat. 埼玉県越谷市



白樺林


10/10 Sun. 岩手県八幡平市






 お田んぼ倶楽部のシーズンが終わった。まだ、秋仕事(農道や畔の整備など、冬が来て雪が積もる前にやっておかなければならない仕事)が残ってはいるけれど、収穫が終わったから、実質的には終了である。
 毎度のことだが、反省点がいくつもある。有機農法で耕作した水梨の田んぼでは、草の駆除にえらく苦労したのだが、原因は水の管理がまずかったせいではないかと思う。草取りは、田んぼの土を掻き回して、まだ芽吹いたばかりの雑草を水に浮かせて枯らすという方法をとるが、水が滞留していたために浮いた草が田んぼの外に流れ出ず、再び根を張ったのではないかと考えている。
 田んぼの深さを一定にするという点でも抜かった。いちおう、代掻きの時点でできるだけ水平を取ろうと努力したのだが、不十分だったようだ。田んぼの水深がまちまちなために、生えてくる雑草の種類が浅いところと深いところでは違ってくる。草取り作業がそれだけ手間になるわけだ。
 深いところでは、田植の時に田植機を水没させるという事故が起きた。それで2時間ほど時間を無駄にした。深いところは、山側から滲み出す水分が常時田んぼを濡らしている状態である。田んぼの外側に深い溝を掘って、滲み出てくる配分を外に流し出す工事が必要であった。
 小谷の田んぼでは、除草剤を弱めに使用したが、これも水管理の失敗で雑草の侵入を許した。1週間ほど水をかけ流し状態にしていたため、除草剤が流れ出てしまったわけである。結果的に、有機栽培と同じことになって、やはり草取りに苦労を強いられた。
 今年の猛暑の中での草取りは、実感として非常に辛いものであった。もともと、あまり面白いとは言えない作業である。その上に、あの暑さだから、作業はほとんど義務感だけでやったようなものだった。
 来年は、どうやって作業を合理化し、人力の余地を減らせるかが問われると思う。田んぼ仕事が好きでやっているとは言っても、月に2度3度の松之山通いが続けば、だれだってへこたれる。田んぼの深いところを浅くすること、機械力をより活用すること、この2点に尽きるであろう。草取りを減らせるような手立てを考え、畔草刈りも合理的な方法を工面する、それも重要だと思う。繁忙月でも月に2回に留める、目標はこれだ。
 ところで、収量は水梨、小谷の合計で540キロであった。猛暑で平野部の出来は最悪だったらしいが、幸い、水が冷たい松之山では、猛暑がかえって良と出た。かなりの豊作だったと言っていいだろう。また、コメの食味も満点。地元の百姓からお墨付きが出るほどだった。
 反省点ばかり目立つ1年であったが、いいこともあった。毎回の田んぼバーベキューがほぼ定例化して、きついだけではなく、楽しみも加わったこと、現地の人々との関係がより緊密になって、様々な場面で手助けをいただけるようになったこと、である。お田んぼ倶楽部は、現地の人たちから見ればインベーダーだ。昨年まではずいぶん警戒されていたようだったのに、今年はそれがなくなった。それなりに、認知されたのではないかと思う。来年は、その期待に背かぬことを第一としたい。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






10/4 第1714号

夜霧



エッセイ:親父の見舞いと映画
今日のポイント:わざとボカす
ネット撮影会講評:ぐりさんの作品講評


10/5 第1715号

夕空


エッセイ:週末はお田んぼ
今日のポイント:お田んぼ米の値段
ネット撮影会講評:sattyanさんの作品「無花果」


10/6 第1716号

街角


エッセイ:ビール目当ての上野アメ横
今日のポイント:訓練ならスナップ
ネット撮影会講評:休載


10/7 第1717号

ニラの花


エッセイ:久々の音楽ネタ
今日のポイント:鬼嫁はニラがお嫌い
ネット撮影会講評:休載



収録中


エッセイ:変装してテレビ出演
今日のポイント:隠し撮り
ネット撮影会講評:休載


10/9 第1719号

宴会中


エッセイ:東北支部にお呼ばれ
今日のポイント:見える、見えないが半々
ネット撮影会講評:休載


10/10 第1720号

水分補給


エッセイ:脱穀は無事終了
今日のポイント:休載
ネット撮影会講評:休載


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

プレミア版の直接配信申し込みを受け付けます。
詳細はこちらをご覧ください。

[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 18:46

10/3







佐々木譲
「鉄騎兵、跳んだ」
★★★★★



 30年前、作者29歳のデビュー作品である。いきなりオール讀物新人賞を受賞するという快挙を成し遂げた。その10年後、1989年には 『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞長篇部門、日本冒険小説協会大賞、山本周五郎賞をトリプル受賞したことは、その作品の書評で述べた。そのほか、1994年 『ストックホルムの密使』で日本冒険小説協会大賞、2002年 『武揚伝』で新田次郎文学賞、2008年版『このミステリーがすごい!』で『警官の血』が1位になった。今年2010年、『廃墟に乞う』で第142回直木賞を受賞したが、なにをいまさら、といった感じを受けたのはボクだけではあるまい。すでに名声が確立した巨匠だからである。
 ストーリーテリングに抜群の感性を見せる。第2次大戦3部作にその特徴がよく出ているが、「警官の血」に代表される警察小説分野でも、それが顕著だ。
 ということは、長編小説向きの作家だというふうにボクは考えていた。ところが、この「鉄騎兵、跳んだ」は、5篇の短編小説で一冊、240ページを成している。恥ずかしながら、この作家の短編小説というものを、それがあることすらボクは知らなかったのだが、今回、初めて読んでみて、やはり、ストーリーの作り方に技量を発揮する人だと思ったことであった。
 「鉄騎兵、跳んだ」はバイク・ストーリーである。15分プラス2周の、たった一つのモトクロスレースで一話だ。レーサーとしての限界を感じ始めていた貞二は、このレースで一位になれなかったら、現役を引退するつもりでいる。天才肌の新人とのスリリングなレース展開が全編を貫くが、貞二の心理描写にも抜かりはなく、わずか20分程度のレースでたっぷりとストーリーを語ってくれるのである。
 「246グランプリ」もバイク小説。こちらの主人公は公道でレースを繰り広げる若者。レースだけを書いて、男の人生の岐路まで読ませてしまうという、脱帽するしかない短編だ。
 「パッシング・ポイント」は北海道をツーリングしている若者の話。自損事故を起こして、通りかかった牧場主のところで養生を兼ねたアルバイトを始めることになる。そこで出会う若者たちや牧場主の娘との交流の中から、若者は自分の進むべき道を見出していく。淡々とした静かな描写は、とても29歳の新人作家の筆とは思えない。見事な青春小説になっている。
 「ロウアウト」はボート競技の話。最後の「雪辱戦」はテニス。いずれもスポーツというものを媒介に、若者の夢や挫折を描いている。
 この短編小説集、重版されなかったために、古本屋で稀覯本扱いを長らく受けていた。定価の十数倍という値段がつくほどだったという。この5月に、著者の直木賞受賞をたぶん契機にしたのだと思うが、ようやく文庫化された。読みたかった本にやっと出会えたという感じで手に取ったが、佐々木譲の知られざる一面(ボクが知らなかっただけなのだが・・・)まで知るという、嬉しい出会いであった。



[PR]
by osampo002 | 2010-11-10 15:00 | 本を読もう!