週刊版(106)


韓国居酒屋
4/2 Mon. 東京都調布市





春の嵐
4/3 Tue. 埼玉県越谷市





花に惹かれて
4/4 Wed. 埼玉県越谷市





桜と鳩
4/5 Thu. 東京都調布市





富士を背に
4/6 Fri. 静岡県沼津市





花一面
4/7 Sat. 静岡県松崎町





スカイツリーと桜
4/8 Sun. 東京都台東区





 桜が満開になった。例年に比べたら2週間近く遅れたが、それでも、本格的な春の訪れを告げに来る律儀なヤツである。梅じゃそうは行かないが、桜が咲くと、どういうわけか体内に潜むいろんなムシが蠢きだし、家にじっとしているのが苦痛に感じられるようになる。例年、桜を求めて日本中を駆け巡るのはそのためだ。今年は残念なことに、個展の開催準備が待ったなしの時期にあるため、行くつもりだった秋田、青森は諦めた。そのかわり、金曜、土曜は鬼嫁の慰労と称して伊豆に行って、松崎の並木を見てきたし、近場なら毎日のように歩き回っている。昨日は浅草、今日は春日部の庄内悪水路の並木を見に行った。
 桜を見ると心が騒ぐのは、どうも、日本人特有の心理らしい。イギリスにいたころ、下宿の庭にも桜が咲いたが、下宿のおばさんは花びらがゴミになってかなわん、とこぼしていた。もちろん、花の下に茣蓙を敷いて宴会をやるヤツなど一人もいない。行きつけのパブの脇にもやはり桜が咲いたが、パブの戸外で飲むのが大好きなにいちゃんたちも、その花の下は避けていた。花びらがグラスに入るのを嫌うのだ。真っ赤な色の、日本で言えばヒカンザクラみたいないい桜だったが、夜中にひとり、こっそりとその下で花びらを浮かべたギネスを飲んだのは、生粋の大和撫子、じゃなくて、ニッポンダンシであるボクだけであった。
 桜で狂うのは、呑兵衛を別にすれば、昔は特攻隊員、今はカメラマンである。しかし、その心理は正反対の位置にある。特攻隊員は、避けられぬ「死」を桜の散り際の潔さ、美しさと重ね合わせた。死ぬなら花の下でと詠んだ西行法師の心理も、たぶん似たようなものであったろう。
 一方、カメラマンは桜の絢爛さ、気高さに惹かれる。そこに「生」を見るのである。万物が死に絶えたような冬景色と対比させ、春の生命の蠢動とその喜びを桜に託す。いまどき、桜の名所とされている場所は言うに及ばず、人里離れた奥山でさえ、桜が咲いていれば必ずカメラを持ったおっさん、おばちゃんが跋扈している。おまえら付属物か。30年ぐらい昔、まだボクがピチピチの美青年だったころは、人っ子一人いない桜があちこちにあったものだが、んなもん、今じゃ高望みもいいとこだ。
 でも、写真ブーム自体が悪いとは思わない。花を楽しむ権利が誰にでもあるように、写真の楽しみもまたみんなのものなのだ。愛好家が増えたおかげで飢え死にを免れている写真家もたくさんいる。写真が手軽なものになったことで、写真の単価は下がったが、写真の価値はむしろ上がった。ボクみたいな下手くそ写真家でも、人様にソンケーされることがたまにあるのは、価値を分かる人が多くなったからに他ならない。愛好家を増やすことに加担している手前、桜のひとり占めぐらいは、手放しても罰は当たるまい。


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by osampo002 | 2012-04-13 01:39
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