天使の笑顔 富士写真が主催する『"PHOTO IS"10,000人の写真展2011』に応募した。 知っての通り、ボクらが毎年新年に行う「お散歩ネット・ベスト100写真展」は、都内・調布にある富士フォトギャラリーを会場としている。そのギャラリーで、作品のプリントを担当してくださっているのが前田のおっさんだ。この人に焼きの指示を出せば、それをプリント担当の職人さんに伝えてくれ、ダメ出しをしながら最終プリントまで仕上げてくれるのである。なので、その前田さんとちゃんと意思疎通をはかっておく、つまり、こちらの好みや癖、性格を知っておいてもらうことが、普段の付き合いでの最優先事項になる。こないだ会った時に、その前田さんが、このイベントのことをつぶやいてくれた。 世の中がデジタル一辺倒に変化していく中、写真のプリント制作も簡易プリント、つまり、インクジェット・プリンタを利用したお手軽プリントへのシフトが加速し、多くの写真愛好家が自家プリント、良くて街の写真屋さんのフルオート・プリンタに依存している。確かに、手軽だしコストも安い。昔は、プリントの耐久性に問題アリとされていたが、技術進歩はそのバリアも吹き飛ばした。東北を襲った大津波で海水に浸ってしまったプリントですら、それなりの手立てを講じればかなり元の状態に近いところまで復活する(その写真復活プロジェクトにも富士フィルムがボランティアを派遣している)。 しかし、フィルム時代には当たり前だった銀塩プリントの質を超えるデジタルプリントはまだない。いわゆる「手焼き」と呼ばれるものである。さすがに、デジタルデータを昔ながらの手焼きでプリントできるわけはなく、今はデジタルデータを光データに変換して現像機に通すという形をとるが、その美しさ、色の深み、黒の締まり、コントラストの鮮やかさは、プリンタでは決して再現できないレベルを保証する。当然ながら、お散歩ネットの作品も、すべてその銀塩プリントで制作されている。お値段はちょっと高いが、値段相応、というより、値段以上の高品質が間違いなく得られる。 ところが、その値段の違いと、おそらく、店頭で待っている間に出来上がってくるという手軽さに勝てないのであろう、富士フィルムが長年にわたって培ってきた、そのプリント部門の技術力が危機に瀕している。第一、アマチュアの人々の間に、銀塩プリントなるものの存在を知っている人がどれほどいるか。知らん人が大部分であろう。 知らぬなら知らせよう、そして、その質の高さを実感してもらおう、というのが、たぶん、今回のこの『"PHOTO IS"10,000人の写真展2011』の主眼なのであろうと思う。応募規定はほとんどなし、唯一、富士の銀塩プリントで提出すること、それだけである。コンテストではないから、出せば展示してくれる。なんたって1万人分の作品数であるから、その会場の確保だけでも大変だったろう。それを、なんと!、全国29の会場で巡回展示するってんだから、富士の意気込みが分かる。ふだんお世話になっているものとして、協力しないわけにはいかんではないか。 ということで、こないだ、来年用の「お散歩ネット・ベスト100写真展」展示作品のテストプリントを頼んだ時に、別口で前田さんにボクの作品を2枚焼いてもらった。提出したのが上の2枚。1枚目は、昨年、hermesさんやコーさんたちとラオスに旅行したときに撮影したものだ。ヴィエンチャン近郊のホン村に野菜畑を見に行った。立ち寄った農家の庭で、この家の子供たちが遊んでいたが、その中の下から2番目の女の子である。カメラを向けると、ちょっと恥ずかしそうな素振りは見せるが、嫌がる風はない。ラオスに行くと、初めての人はみなびっくりするが、大人も子供も写真を撮られることに警戒感や嫌悪感を抱かないのだ。もちろん、どこかの国のように、無意識のうちにVサインを出してしまうような悪弊に染まってもいない。実に自然な表情でカメラに納まってくれる。 それにしても、この笑顔!天真爛漫というか底抜けというか、こんな笑顔が我が国で見られなくなったのはいつごろからだろう?こっちまで幸せな気分になってくる。 もう一枚は、これも去年の撮影、鬼太鼓座の若さまである。全身全霊で太鼓に没入し、ほとんど無我の境地にトンでいってしまった、その表情を真正面から撮影した。本番の舞台を真正面から獲れる、職業写真家ならではの余禄である。 ちなみに、『"PHOTO IS"10,000人の写真展2011』のコンセプトは次のようなもの(ホームページから一部抜粋)。 「写真を見る楽しみ、さらには残す大切さを多くの方に感じてもらい たい。そのような思いで富士フイルムは、「“PHOTO IS”10,000人の写真展2011」を全国29 都市で開催します。写真は、時間や場所を越え、多くの人にその込められた想いを届け、共有 することができる。そんな写真の持つ、かけがえのない価値を実感していただけるのがこの写 真展です。特定のテーマ、特別な参加資格はありません。どなたでも参加できます。」
by osampo002
| 2011-06-27 01:37
| お知らせします!
|
カテゴリ
以前の記事
2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 04月 2011年 03月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 フォロー中のブログ
書評は「脳内紙魚だらけ」に移転しました。
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||