これが生き甲斐 写真集の予約販売が残部わずか18部となった。注文が入るペースは、昨夜も書いたように確かに鈍化しているが、入らなくなったわけではないので、残部は減少していく。哲学的な観点から言えば、引き算唯物論で説明できる現象である。 このように、予約限定数が減っていく現象を見て、出版後の写真の売れ行きが凄いペースになるに違いないと楽観したいところだが、往々にしてそうはならないのが人生だ。何事にも錯覚というのは起こり得るのであって、予約で売れたから実売でも売れるとは限らないところが実社会における経済現象の妙である。思った通りに経済が運用できるのであれば、日銀総裁にボクがなっても、総理大臣にのりおくんやゴン太が任命されても日本は平和であるはずだ。 考えられる逆転要因は次の2つ。 一つは、予約しなかった人々は、そもそも最初からキットの写真集などに価値を認めておらず、風呂の焚き付けも足りているし、鍋敷きには「デジタル写真の学校」を使っているので、買い足す必要がないという人々であるに違いない。下手に買ってしまってゴミを増やすのは、地球環境維持改善の観点からも問題が多い。 予約しなかったわけだから、実売で買うはずがなく、そういう人々がたくさんいれば、発売されても売れない。そうなると在庫が常にあるということになるため、風呂の焚き付けがなくなったり、鍋敷きがボロくなったときに仕方なく本屋に行けば、間違いなく買えるわけである。ボクの本をレジに持って行く恥ずかしささえ我慢できれば、だが。 もう一つの要因として考えられるのは、人類の多くはキットの関係者だと思われることに、病的なほど警戒心を抱いているという見方だ。メルマガを読むだけなら、誰かが近づいてきたと思った瞬間、即座に画面を別の表示に切り替えて誤魔化すことが可能だが、本となるとそうは行かない。クリック一発で隠しおおせる悪事が、本だとバレバレになる恐れがあるではないか。ましてや、本棚にキットの写真集などが並べてあるところを目撃された日にゃ、もう嫁にも行けない、就職もできないという事態に陥りかねない。 そういう人々にとっては、キットとの付き合いは秘め事の楽しみなのだ。親に隠れてお菓子をつまみ食いしたあの日、体育館の裏でタバコを吸ったあの日、可愛いあの子の靴箱にラブレターを入れたあの日を思い起こそう。秘め事だからこそのスリル、わくわくするような悦楽があったはずだ。そういう楽しみにふけっている人に、書店で堂々とボクの写真集を手にすることができるはずはないし、そもそも、本屋の主人に店先に出しておく度胸があるとも考えにくいではないか。 というわけで、「日本の棚田」は永遠に「好評在庫中」になる運命なのだという見方が成立する。発売日翌日にブックオフに行けば、100円コーナーに山積みされている可能性も高い。そのように考えている人が大勢いるということなら、逆転現象の立派な説明になる。発売日が待ち遠しくもあり、発売日など永遠に来なければいいと願うこともある、複雑な心境のキットくんなのである。 今日のプレミア版
骨 展示作品:普及版「骨」 エッセイ:去年のベスト100完成 今日のポイント:モノクロで撮れば綺麗 ネット撮影会講評:夜も遅いし、昨夜に続き今日も休載。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Premium版の購読申込みはこちら。 購読料(月間1,050円)はクレジットカードからの自動引き落としです。
by osampo002
| 2010-02-12 03:12
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