2009/12/24 THU(No.2455)


ドット





 藤原伊織の「蚊トンボ白髭の冒険」上下巻を一気に読んでしまった。とにかく面白い。途中で止めるなんて不可能だ。お陰で、我が駅の駅裏焼き鳥屋に4時間も居座ることになったが、ここの主人もねいちゃんも、それに客も、ボクは飲みながら本を読むということを承知しているので、話しかけてはこないし、もちろん、さっさと帰れとも言わない。焼き鳥屋には珍しい客、かなり変人、それぐらいの認識なのであろう。
 このところ、この著者の作品を立て続けに読んでいる。「シリウスの道」「てのひらの闇」「ダナエ」ときて、ここに行きついた。夭折した作家なので出版数は多くはない。直木賞受賞の「テロリストのパラソル」は、受賞直後に読了済みなので、たぶんこれが最後だ。最後に一番面白いのに当たった。運がいい。
 この手の小説をどう呼んだらいいんだろう。ファンタジー小説の一種ではあろうが、内容は決してファンタジックではないから、それはちょっと違う。サスペンス小説に括ってしまうほうが正しいと思う。でも、設定は普通のサスペンスものではない。
 配管工(水道職人)達夫の頭の中に、ある日、蚊トンボが侵入してくる。天敵のカラスに狙われ、避難するところが達夫の頭の中しかなかったというのである。その蚊トンボ、名を「白髭」という。隅田川に架かる白髭橋が生誕の地なので、そういう名前を名乗っている。この蚊トンボ、ちょっとした不思議な能力を持っていて、達夫は超人になるのである。ただし、かなり束縛の多い超人ではあるが・・・。
 一方、アパートの隣人、正体不明の黒木と関わったことから、達夫は闇社会から狙われる立場に陥ってしまう。果たして、達夫は生き延びることができるであろうか、どのような戦略、手段が生存への鍵になるのか、ストーリーは緊迫の度を高めつつ終結に向かって怒涛の如く突き進む。
 主人公達夫の性格付けがいい。蚊トンボ白髭との掛け合いがユーモラスで、サスペンスにユニークな味をつけている。なにより、ファンタジーとサスペンスという、言わば水と油を見事に融合させた手腕が素晴らしい。ファンタジーと言えば嘘八百の世界であるわけだが、その嘘の世界に浸りきってしまって抜け出せなくなる。最後のページまで読まなきゃ納得できんぜ、という小説は、あるようでないものだ。





藤原伊織「蚊トンボ白髭の冒険(上)」

講談社文庫660円
【キット評価:★★★★★




藤原伊織「蚊トンボ白髭の冒険(下)」
講談社文庫660円
【キット評価:★★★★★

今日のプレミア版


うなだれる年の瀬



展示作品:普及版「うなだれる年の瀬」
エッセイ:いつもと同じクリスマスイブ
今日のポイント:撮らなきゃ始まらない
ネット撮影会講評:休載
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by osampo002 | 2009-12-25 02:28 | 本を読もう!
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