2009/01/19 MON (No.2116)


日蔭者の悲哀







 渋谷に出た。我が家から片道1時間20分ほど電車に乗ることになるが、その行き帰りで日明恩(たちもりめぐみ)の「鎮火報」600ページを読了。作者のデビュー作である「それでも、警官は微笑う」が面白かったので、柳の下の泥鰌を狙ってみたのだが、大当たりであった。
 主人公は若い消防士である。高校時代はワル、性格はちゃらんぽらん、同じ消防士でも現場担当ではなく、早く日勤になって9時5時の公務員生活に進みたいと、そればかりを願っている新米である。それが、外個人アパートを狙う連続放火事件に関わったばかりに、事件に巻き込まれ、ついにはそれを解決してしまう。消防士としての誇り、消防士として殉職した父親への思いを取り戻していく。
 と、まあ、筋立てはそんなものだが、なんといってもすごいのは、消防の世界を、実に詳しく描き出している点だ。警察小説は巷にあふれているから、ボクだって内部事情にはある程度の理解があるけれど、警察よりもより身近なはずの消防については、ほとんど何も知らない。その未知の世界が実はこうだったんだということを教えられるだけでも、読んだ甲斐があった。
 しかし、この日明恩という作家、女のくせにといっては語弊があるが、警察や消防といった男の世界を、よくもまあ、これだけ書けるものである。今では警察も消防も女性進出が著しいから、男の世界という言い方がまずいということであれば、硬派の世界と言い直してもいい。
 女だてらにそういう世界に興味を持つだけでも異端なのに、微に入り細にわたり、その調査の徹底加減は半端じゃない。筋立てや文章力もだが、その点に感心してしまうから、余計に面白さが倍増するのであろう。


今日のプレミア版

冬の影



展示作品:通常版「冬の影」
エッセイ:小玉くん
今日のポイント:余韻
撮影会講評:休載

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by osampo002 | 2009-01-20 02:50
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