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2009/01/04 SUN (No.2101)


凝視







 昨日のこの欄で鳥追いのことについて書いたが、掲示板に読者のすぎやんから、鳥追いは決して象徴的な行事ではなく、現実的な、実効のある方法であったとの書き込みをいただいた。全文は掲示板を参照していただければいいが、夜間、民家の近くの林などに眠っている鳥の群れを、光や煙で追い出し、他の場所に追い払う効果を狙ったのだそうだ。
 ふむ、なるほど、そういうことだったのか。納得である。この欄では、いろんないい加減なことを書きなぐってきたが、読者の皆さんから、種々のご指摘やご教授を頂戴する。中には、言いがかりとしか読めないようなものもあるにはあるが、多くは教えられること大である。無学なボクには、たいへんありがたいことだ。
 ところで、このようなご指摘の中には、ボクの言葉遣いに関するものも多くある。言葉の使い方が適切ではないという指摘の代表格が「鬼嫁」という言葉なのだが、そのほかにもいろいろある。明らかな間違いである場合には、素直に受け入れ謝罪するけれど、大半は無視である。なぜなら、このコラムは別に学術論文ではなく、逃げも隠れもしない駄文であるし、書いている本人が半分冗談みたいな人間なのであるから、文章も半分冗談だからである。
 よくあるご指摘に「禁止用語」「差別用語」というのがある。今日も、「裏日本」という言葉が差別用語であるというご指摘を頂戴した。列島改造の頃までは、テレビや新聞でも堂々と使用されていた用語だ。
 「裏」は単に「表」(東京を玄関口に見立てている)の反対側というだけの意味であるから、差別用語ではないはずなのだが、あの田中角栄がマスメディアに使用禁止を強要したことから、政治家の言うことには決して逆らわない某国営テレビが使用を自粛、それで差別用語みたいな扱いになった言葉である。ボクらの年代の人間には、教科書にも使われていた言葉だから、なんの差別意識もない。
 今は、「太平洋側」「日本海側」と言うらしい。しかし、これはちょっとおかしい。「裏日本」は本州だけの地域分け用語であって、それには九州と北海道の日本海側は含まれないのだから、「裏日本」と「日本海側」は同義ではないからである。「本州の日本海側」というのなら異議はないが、「裏日本」と言ったほうが、よほど簡潔だと思う。
 ずっと以前、まだ発刊して間もない頃に、この「差別用語」(「ばかちょんカメラ」という言葉)に関する激論が起こって、賛成派、反対派入り乱れてのすったもんだがあった。
 そのときに感じたのだが、単なる民間会社に過ぎないマスメディアが、社内規則として定めているだけの使用自粛用語が、あたかも法律でもあるかのように世間を蹂躙している。某教員組合や教育ママ団体が、大声を上げて吠え立てる。おかしな話である。
 もちろん、ある言葉から不快感を感じる人が多数いるのであれば、生きていく上でのマナーとして、なるべくその言葉は使わないようにするということは大事だが、重箱の隅をつつき過ぎたら針小棒大になる危険性があること、言葉の文化を破壊しかねないことも承知しておくべきだと思う。「めくら蛇に怖じず」が「目の不自由な人蛇に怖じず」では、それこそ話になるまい。
 使うほうに差別意識があり、使われたほうに被差別意識が生じるという、両面性を備えるから「差別用語」なのだと考える次第である。


今日のプレミア版

得意満面



展示作品:通常版「得意満面」
エッセイ:ベスト100
今日のポイント:お久しぶり
撮影会講評:Ukiukiさんの作品
「初めてのメール」

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by osampo002 | 2009-01-05 00:10
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